親知らず 抜歯の準備と心構え etc.
こんにちは、小池歯科医院、口腔外科専門医の小池博文です。
親知らずの抜歯について、口腔外科専門医の視点からシリーズでお伝えしたいと思います。
今回は親知らずの抜歯がしたい、抜歯しなくてはならなくなった時、どこで抜歯するかです。
抜歯する歯科医院選びってどうすればいいかわからない人も多いはずです。
親知らずの医院選びで重要なことは以下の4点です
① リスクを十分説明してくれるか
② 施術者の技術
③ 設備、スタッフがしっかりしているか
④ 親知らずの前の歯の治療も同時に治療できるか
それでは詳しく説明しましょう
①リスクを十分説明してくれるか
親知らずの抜歯は、歯の生え方、埋まっている程度よってさまざまなリスクがあります。少なからず抜歯したあとは数日から長ければ1週間以上痛みや腫れが続くこともあり、その程度や期間は予測不可能です。抜歯の次の日から旅行に行く、大事な商談がある、家族との記念撮影があるなどといった大事な日の直前に抜歯しないことが大事です。その辺まで気をつかってくれる歯科医院がいいですよね。
また、親知らずの近くには神経、血管などが近くにある場合も多く、傷つけてしまうと一生後遺症が残ることがあります。レントゲンでの説明は当然のこと、現在ではCTスキャンで埋まり方やそれらのリスクの説明が必須です。大きな病院の口腔外科などでは必ず説明してくれるので安心ですが、一般の歯医者でもきちんと説明してくれるところがいいと思います。
② 施術者の技術、経験
親知らずの抜歯では、施術者の技術はとても大事です。施術時間や手術侵襲にとても影響しますので手術中の苦痛、手術後の腫れ、痛み、治り方なども違ってくるのです。
誰しも楽に終えたいですよね。
なるべく親知らず抜歯の経験が豊富な先生がベターです。口腔外科専門施設(大学病院、病院口腔外科)で経験を積んだ先生や開業医の先生でも親知らず抜歯を得意とする先生もいますので探してみましょう。当院は当然ながら口腔外科専門医が常時おりますのでご安心ください。一般的に難しいとされているのは下顎の埋まっている親知らずですが、当院で下顎埋伏智歯の抜歯症例60例ほどの手術時間を測ってみたところ、最短は7分、最大でかかった手術時間は31分、平均で14分でした。ですから当院で抜歯する場合の手術時間はおおよそ15分程度、長くて30分と考えていただいていいでしょう。
③ 設備、スタッフがしっかりしている
設備に関しては、器具がしっかり滅菌されていれば大丈夫でしょう。ほとんどの歯科医院には滅菌機がありますので心配ないと思います。また、器具も様々な埋まり方で取り出すのが難しいケースや、根っこの先端が折れて顎の骨の中に残存することもありますから、それ専用の器具がそろっていると安心です。また、診断の要はCTスキャンです。術者にとってものすごい情報量が得られますので、抜歯のリスクも含め、戦略的に抜歯することができます。時間も短縮しますよ。スタッフに関しては滅菌・消毒に対する知識はもちろん、手術の流れが把握できていると手術が早く終わります。また術後の問い合わせに柔軟に対応できることも重要です。手術後の出血がひどいのに予約がいっぱいで・・・などと来院を拒否するようなところはおすすめできません。
④ 親知らずの周りの歯の状態、治療方法も考えてくれるか
親知らずは生え方が曲がっていたり中途半端に生えていたりすることが多く、そのせいでひとつ前の歯がむし歯になっていることがあります。むし歯の存在に気づかず大きくなりすぎて神経の治療をしなければならない場合も少なくありません。
歯科医師ごとに考え方は違うので一概には抜歯と他の歯を同時に治療する、しないといった選択で良し悪しは判断できません。ただ、周りの歯の状態とどのように治療していくべきかまで考えてくれる歯科医院がいいですよね。当院ではなるべく2度手間にならないように、同時にできる治療は抜歯と同日に行うようにしています。麻酔もほぼ同じ場所なので回数や苦痛も減ります。当然、歯の治療に際して不都合なこと(血がはいるなど)があれば後日治療することもあります。
以上のような観点で歯科医院を選択してみると、怖い怖い抜歯も少しは安心できるのではないでしょうか。
次回は親知らず抜歯の難しさについて・・・述べたいと思います。